大使室より(アイスランドの夏が始まる日)
みなさん、ご無沙汰しています。
アイスランドに知人が増えたり、興味深い場所を教えてもらったりすると、本当に、あっという間に時間 が経ってしまいます。
4 月 21 日は「夏の始まりの日」として、アイスランドは祭日でした。確かに当日は、暖かい陽射しが降り 注ぐ日となったのですが、その前日まで、チラホラ小雪がふるような天気。日本人が「夏」をイメージす ると、大間違い、「これが夏かぁ(ちょっとため息)」という感じです。
でも、アイスランドがこの日を「夏の始まりの日」として祝うには、それなりの理由があるようです。
アイスランドの年間気温を見ると、冬でも平均最低気温はマイナス 3 度程度。欧州大陸内部の、マイナ ス 30 度などという寒さに比べれば、たいしたことがないかもしれません。しかし、昔々のアイスランドは、 樹木の生育に適さない溶岩台地。木材は輸入しないといけないので、普通の人の家はターフ(=turf : 芝地を根も土もついたまま切り出したもの)を石の土台の上に重ねて作った壁に囲まれていたようです。 海風を遮る木もなく、ターフの家は湿気が多く、体感気温は数倍にも厳しく感じられたことでしょう。昔 のアイスランド人にとって、冬を越すことは、本当に大変だったことなのです。 ゆえに、昔のアイスランド人は、(ものの本によると)誕生日で年を重ねるのではなく、いくつ冬を越した かで年齢を数えたのだそうです。
そういうアイスランド人にとって、「夏の始まりの日」は、「冬が終わった日」であり、生き抜いたことを喜 ぶ日であったようです。
追記:日本とアイスランドの外交関係も、年月を重ね、今年で 60 周年を記念しています。本コーナーを お読みの方で、60 年間の日アイスランド関係に関する逸話(特に初期の頃)をご存じの方、記念するお 写真・資料等をお持ちの方、大使館までメールをいただけると幸いです。