大使室より(キングアイダー社訪問)
令和3年9月27日



1865年にジュール・ベルヌの書いた「地底旅行」(原題はvoyage au centre de la terre「地球の中心への旅」)は、ハンブルクに住む鉱物学者、リデンブロック教授が甥のアクセルを連れて、地球の中心へ向けた冒険に出る物語ですが、16世紀アイスランドの錬金術士が書き残した古文書を頼りに、アイスランドのスネイフェルスネスの休火山の火口を下る、という設定になっています。当時はデンマークの支配下にあったアイスランドのこと、コペンハーゲンからの10日間の船旅の後、彼らは、レイキャビクで地元の学者に出会い、スナイフェルス半島への案内人として、「毛綿鴨」の猟師ハンスを紹介されます。このハンスがこの後の冒険を二人とともにすることとなるのです。
長々と書きましたが、この「毛綿鴨」のハンターたちのエピソード、読み返すとなかなか面白いところがあります。少し長くなりますが、創元SF文庫の窪田般彌氏の訳を引用すると。「...夏のはじめに..毛綿鴨の雌は..巣をつくりに来る。巣ができると雌は自分の腹からむしりとった細やかな羽で、その巣を飾る。すると、すぐに猟師が、..その巣を奪う。しかし雌はまた仕事をはじめ、自分に羽が残っているかぎりつづける。雌が自分の羽を完全にぬきとってしまうと、今度は雄が代わって自分の羽をむしる。しかし、粗く、かたい雄の羽は、なんの商品価値もないので、猟師は、そんな雛鳥の寝床までは盗もうとはしない。」
まあ、小説の中のエピソードの一つですので、真偽のほどはわかりませんが、アイダーダウンが当時から貴重品として重宝されていたことはわかります。
先日、スネイフェルスネス半島の北側の港町、スティッキスホルムルにて、アイダー鴨のハンターたちに会ってきました。昔も今も、「綿毛鴨」の綿毛、アイダーダウンは高級品として重宝されていますが、現在では、鴨たちは大事に保護されています。キツネやカモメ、カラスといった害獣の手にかからないよう、営巣地にはフェンスを設けたり、昼夜、監視したり。また、人間たちが巣を回収するのは雛鳥が十分成長してからのこと。巣が途中で盗まれることはありません…。
この地で回収されたアイダーダウンの多くは日本、そして、ドイツといった外国に輸出されるのだそうです。
長々と書きましたが、この「毛綿鴨」のハンターたちのエピソード、読み返すとなかなか面白いところがあります。少し長くなりますが、創元SF文庫の窪田般彌氏の訳を引用すると。「...夏のはじめに..毛綿鴨の雌は..巣をつくりに来る。巣ができると雌は自分の腹からむしりとった細やかな羽で、その巣を飾る。すると、すぐに猟師が、..その巣を奪う。しかし雌はまた仕事をはじめ、自分に羽が残っているかぎりつづける。雌が自分の羽を完全にぬきとってしまうと、今度は雄が代わって自分の羽をむしる。しかし、粗く、かたい雄の羽は、なんの商品価値もないので、猟師は、そんな雛鳥の寝床までは盗もうとはしない。」
まあ、小説の中のエピソードの一つですので、真偽のほどはわかりませんが、アイダーダウンが当時から貴重品として重宝されていたことはわかります。
先日、スネイフェルスネス半島の北側の港町、スティッキスホルムルにて、アイダー鴨のハンターたちに会ってきました。昔も今も、「綿毛鴨」の綿毛、アイダーダウンは高級品として重宝されていますが、現在では、鴨たちは大事に保護されています。キツネやカモメ、カラスといった害獣の手にかからないよう、営巣地にはフェンスを設けたり、昼夜、監視したり。また、人間たちが巣を回収するのは雛鳥が十分成長してからのこと。巣が途中で盗まれることはありません…。
この地で回収されたアイダーダウンの多くは日本、そして、ドイツといった外国に輸出されるのだそうです。