大使室より(アイスランド議会選挙)

令和3年10月4日
althingi
アイスランドでは、先日、9月25日に議会選挙がありました。2017年以来、4年ぶりの選挙です。日本もすぐに衆議院選挙の時期を迎えます。こちらも任期満了による4年ぶりの選挙ですね。
 
海外に居るとよく思うのですが、日本では少し国政選挙が多すぎるような気がします。参議院選挙だけでも3年に一度。最近の参議院選挙と言えば、2019年に行われ、つい最近でしたよね。
 
アイスランド議会は定員数が63名と小じんまりとした議会で一院制。不信任決議で解散、となることも稀にあるようですが、選挙の頻度はずっと少ない。だからこそ投票の機会は貴重に感じられるのでしょう。年配の方々は着飾った服装で投票所に向かうそうです。投票率も80%!と日本と比べ、はるかに高い数字です。
 
今回の選挙では連立与党三党が予想以上に善戦し、議席数を増やしました。イデオロギー的には対立する左派と右派の政党が連立してチームを組む一見奇妙な連立政権なのですが、しばらくはこの政権が続くことになりそうです。
 
しかし、驚いたのは選挙の最終結果が発表となった後でした…。
 
北西部選挙区での再開票の結果、一度は当選と発表された議員のうち5名が入れ替わりになる、と発表されたのです! 
 
各政党に配分された議席には変化はありませんでしたが、不平等是正枠として設定されている9議席の配分には、各党の獲得した投票数の比例配分の確保と、6つある選挙区の各々における一票の価値の不平等を是正するための一般人には理解できない(しかし数学的には厳密な)複雑な方式が選挙法で規定されており、わずかな投票数の違いがそうした結果を産んだ、ということです。(実は私にもよく理解できず、うまく説明できません…。)      
 
最初の投票結果では女性議員が33名で、アイスランド憲政史上、また、ヨーロッパでも初めて女性の数が上回った、とのニュースが世界中を駆け巡りましたが、再開票後は30名に…。男女平等の最先端を行く国としてはやや残念な結果になりました。
 
実はこの再開票ですが、開票後に投票箱に封印がされていなかったことなど、手続きに不備、不正があったことも明らかになり、再投票を要求する声も出て来ています。再開後の議会が選挙のやり直しを議決する可能性は低いと思いますが、今回の一連の騒ぎは、政治制度、民主主義への信頼を揺らがせる結果となりました。そもそもこのような不可解な結果を産んだ選挙制度の見直しも議論になりそうです。