大使室より(ヘイマエイ島)

令和3年10月22日
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時間的には前後しますが、先日、ヘイマエイ島に行って来ました。ヘイマエイ島はアイスランドの南部にあるウェストマン諸島の中心地で、唯一、人が住む島です。
豊かな漁場に近く、その地の利を活かして昔から漁業が盛んです。日本に輸出される魚の多くもここで獲られ、加工、輸出されます。
 
タラやニシン、サバなど、アイスランドで獲られる魚はほとんどが輸出され、その主要なマーケットは欧州ですが、広く日本向けと思われている魚も存在します。それがシシャモです。とくに卵を抱えたメスの子持ちししゃもは日本市場では高く売れるようです。
 
近年、シシャモの資源量の枯渇が危惧され、資源の保全のため、実質禁漁の年が二年続きましたが、来年1月半ばに始まる次の漁期では過去二番目の豊漁となる漁獲量が許可される見込みで、現地の関係者らは喜んでいました。
 
シシャモはアイスランドからさらに北のグリーンランドに近い海域まで回遊して成長し、生後3年で産卵のためにアイスランドの西部のフィヨルド産卵場所に戻る魚ですが、成長中のデータは少なく、資源量の推定はなかなか難しいようです。
 
この島は、1973年には火山噴火で島民全員が避難したことでも知られています。島民のうち、噴火後に島に戻ったのは三分のニほど。噴火当時は人口は5千人を超えていたそうですが、現在では4千人ほどで、噴火後、50年が経とうとしていますが、実はまだ、噴火前の水準には戻っていないことになります。
 
迅速な避難により、奇跡的に噴火では人的被害は出さずに済んだことでも知られていますが、多くの住宅や建物が溶岩と火山灰に埋もれて失われました。一部は今世紀に入ってから「発掘」されましたが、多くは今も埋もれたままです。発掘された家の一つは、今は火山博物館内に現物として保管、展示されており、噴火の凄まじさと、当時の人々の暮らしを今に伝えています。