大使室より(13人のサンタクロース??)

令和3年12月14日
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12月に入り、ここアイスランドもめっきり日が短く、夜が長くなりましたが、クリスマスシーズンの到来とともに、家々の窓にも電飾の灯りがともるようになりました。
 
ところで、クリスマスと言えば、サンタ・クロースですよね。
キリスト教徒には、元来イエス・キリストの生誕を祝う、宗教的に大事な行事なわけですが、信心深くない一般の人々のところにも、なぜか、サンタ・クロースだけは毎年訪れ、子どもたちにプレゼントを置いていってくれます。
赤鼻のトナカイ、ルドルフを先頭とするトナカイたちが引く空飛ぶソリに乗って各地に現れ、煙突伝いに家の中にまで出入りしますが、なぜか煙突のない家にも訪れる術をもっている、不思議な人です。彼が家を訪れる瞬間は誰も見ることが出来ません。立派な白いヒゲを持ち、大きなお腹で赤い服を着ており、帽子も赤。誰も見たことがないはずなのに、なぜか、ビジユアルは確立しています。考えてみれば不思議な人ですね。
 
ここアイスランドでは長年の間、そういうサンタはクリスマスには訪れませんでした。
最近は来るぞ、という人も居ますが、あまり広くは信じられていないようです。
 
その替わり、グリラという悪い子どもを食べてしまう恐ろしい女のトロールが山に住んでいて、クリスマスのシーズンには、その13人の息子たちが山から街に下りてきて、クリスマス・イブの日まで、一人一人、順番に家を訪ねてくる、というお話が子供たちには語られています。彼らは母親とは違って人を食べたりはしませんが、昔はいたずらや悪さをして大層人を困らせる存在だったようです。しかし、いつの日からか、夜の間、良い子の靴には小さなプレゼントを、悪い子にはジャガイモを置いて帰る、そんな善良な存在に変容を遂げたようなのです。
 
この13人の息子たち(アイスランド語では「ヨウラスベイン」と呼ばれます。)は、もちろん本来のサンタ・クロースとは別ものですが、子供にプレゼントを配る、という役割が似てしまったからでしょうか、「13人のサンタクロース」と呼ばれることもあります。その姿も、いまや本来のサンタクロースと同様、赤い服に赤い帽子、白ヒゲ、というのがスタンダードになりました。
 
今年も13人のサンタが街に訪れる季節となりました。
 
メリー・クリスマス! よいクリスマスを!!