大使室より(ゴールデン・サークル)

令和4年4月4日
gullfoss
バスのツアーで、氷河を見に行った話を書いたすぐあと、また、アイスランド観光の案内するのは、やや気が引けるのですが…。
 
アイスランドを初めて訪れる人にお勧めしたいのは、まずは気軽な日帰りのバスのツアーでいわゆる「ゴールデン・サークル」を周ることです。私も、先日、週末を利用してそうしたツアーの一つに参加して来ました。(私の場合、家族旅行で10年ほど前に似たようなツアーに参加したことがあるので、初めてというわけでありませんが。)
 
いろいろなツアーが出ていますが、まずはシングべトリル国立公園から始まって、間欠泉のあるゲイシルを周り、最後に水量豊かな美しい滝、グトルフォスを見て帰る、というのが普通のコースでしょう。
 
アイスランドの歴史を語る上で、かつてこのシングべトリルの地で毎年夏に各地の有力な農場主やリーダーたちが一堂に会する大きな集会が開かれていた話は避けて通れません。また、ここは北米プレートとユーラシア・プレートが日々形成され、分離して離れていく特異な地層構造を実際に確認できる地球科学的に興味深いところでもあり、一見の価値があります。間欠泉はアメリカにも有名なのがありますが、世界的にも珍しい自然現象で、近くで見るとさすがの迫力です。
 
グトルフォスはアイスランドに数ある滝の一つに過ぎませんが、水量豊かで美しく、アイスランドをよく知っている通の方にもファンの方が多いようです。
 
感覚的な話で恐縮ですが、今回改めて訪れて、ここには、ある種の癒やしのパワーがあるのでは、という神秘的な雰囲気を感じました! ずばり、オススメです。
 
ここが日本なら、神々の宿る場所として、信仰の対象になっていそうな気がします。
 
実は、この滝、一時はイギリスの投資家がその豊富な水量に目を付けて水力発電のダムを作る計画を立てたことがあり、あわや消え去る可能性もあったらしいのですが、熱心に保全を訴える女性活動家の身を張った抗議行動が起きたり、また、せっかく発電した電力のうまい使い道が当時はあまりなかったこともあって、資金繰りがうまく行かず、立ち消えになったということです。
 
いや、ダムにならなくてよかった…。
 
世界的にコロナ禍で滞りがちだった人の流れも最近ではようやく正常化の兆しがみられ、アイスランドに観光で訪れる人も増えて来ました。日本からの観光客も、まだ数は限られていますが、少しずつ増えているようです。
 
私の参加したツアーにも、私の他に二人、東京から参加された方がいました。(他は、香港から来たという女性3人グループ、スウェーデン人の男女のカップル、ドイツ人男性、カリフォルニアから来たという華人系アメリカ人。全員で10名でした。)
 
コロナ関連の入国制限はアイスランドではすでに撤廃されています。折悪しく、ロシアのウクライナへの侵攻の影響で日本と欧州の間の航空便は混乱が続いていますが、今後、アイスランドを訪れる人が増え、交流が正常化することを心から祈って居ます。