大使室より(アイスランド語から日本語に翻訳された絵本)

令和5年6月5日
Reykjavik
アイスランド人たちは本が好き、という話を書きましたが、日本で紹介されているアイスランドの作家の本は残念ながらあまり多くはありません。このコラムでも、いくつか日本語に翻訳された作品にも触れていますが、どうしてもミステリーなどの分野が多くなってしまいます。 
 
そうした中で、地道にアイスランド語の児童書を翻訳している人もいます。「さむがりやのスティーナ」は、極端に寒がりで、外に出たがらないちょっと変わった少女が登場するラ二・ヤマモトさんの児童向けの本で、私のお気に入りの本の一つ。「かいぶつ」のシリーズもアイスランド語からの翻訳の絵本。これは、ちょっとたよりない、黒い色のかいぶつたちが登場するお話です。「かいぶつ」は、アイスランド語のSkrímsliを訳したものなのですが、これは得体のしれないいきものの総称で、作品でも「かいぶつ」たちの正体は不明です。しかし、このお話には人間は一切出てきませんし、人に危害を加えるような存在ではなさそう。むしろ可愛らしい。
 
アイスランド語の本の翻訳は、すでに外国語訳された作品をいわゆる「重訳」したものがほとんどですが、これらの翻訳を手掛けた朱位昌併(アカクラ・ショウヘイ)さんは、アイスランド在住の方で、アイスランド語も堪能。直接、翻訳しています。
 
日本の書店で見かけたら、是非、ご一読を。