大使室より(ヘトリスヘイジ地熱発電所)

令和5年6月13日
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日本とアイスランドは、ともに、地熱資源に恵まれた国です。
 
しかし、日本での地熱への注目度はあまり高くなく、資源の活用もあまり進んでいないように思います。日本では、さまざまな「温泉」が全国各地にありますが、現状では、地熱発電所でまかなわれる電力は全体の需要の1%にも満たない量に過ぎませんし、地域暖房用に温水を活用するという試みもあまり聞いたことがありません。
 
他方で、世界的に地熱資源の活用への注目は高まっています。石炭や天然ガスへの依存度を減らし、温暖化効果ガスの排出をネット・ゼロにするためには、日本も、地熱エネルギーをより積極的に活用する必要があります。
 
レイキャビクから車で40分ほど離れたところにあるヘトリスヘイジにある地熱発電所は、世界でも有数の大規模な地熱発電所で、303メガワットの発電能力を有します。もちろん、この種の施設としてはアイスランドで最大です。
 
このような大規模な発電所には、比較的高い温度の豊富な量の熱水源を確保する必要があります。この発電所近くには、たくさんの掘削点があり、2千メートル地下まで掘削された生産井からは大量の水蒸気と熱水が噴出され、これが、一日24時間、休むこと無く日本製の巨大なタービン7機を回し続けています。
 
しかも、発電に用いられた熱水はそのまま捨てられるわけではなく、パイプラインでレイキャビク市周辺へと運ばれており、一般に利用される温水の供給源、暖房用のエネルギーとなります。実は、発電事業よりも、こうした温水供給事業の方が、むしろビジネスとしては大きいのだそうです。
 
アイスランドには、この他にも、大小さまざまな地熱発電所や、地熱を活用したビジネスなどがあり、興味がつきません。