大使室より(国が「独立」するということ)

令和6年6月20日
Independence Day
6月17日はアイスランドの独立記念日です。毎年、この日には、ヨン・シーグルズソンの銅像のある議会前の広場(Austurvöllur)で公式行事が開かれます。ここで行われた式典に、私たち夫妻も招かれ、参加しました。
 
今年は独立から80年。他の各地でも、さまざまな行事が行われました。特に、シングベトリルでは、大勢の人たちが集まりました。シングベトリルは世界初の民主的な議会が開催された地ともいわれ、植民時代に遡るその歴史、ここを舞台として語られる数多くのサガ、物語や詩は、今もアイスランドの人たちの「誇り」の源泉となっています。19世紀以降の独立運動の過程で多分に美化されてきたきらいはありますが、他のいずれの国や王政にも従属しない独立した共和制国家、アイスランドという国の形はここで生まれたと言えます。

一つの国家が「独立」する、ということには、他にもたくさんの意味があると思いますが、ここ、アイスランドでは、デンマーク王の支配下で失われがちであった国の「誇り」を回復するという意味合いが強かったのだろう、と感じています。
 
(注 アイスランドがデンマーク王を君主とする「王政」を廃し、国家としての独立を宣言したのは1944年6月17日のこと。この日は、独立の父として尊敬されているヨン・シーグルズソン氏の誕生日でもあります。この時の独立記念式典は、シングベトリルで開かれました。)