大使室より(スカウルホルト再訪)

令和6年12月1日
SKALHOLT
SKALHOLT
ここは実は昨年11月に一度訪れている地。再訪です。
 
サモアに転勤する前に、また一度再訪したいと思い立ち、公邸料理人の高澤さんとともに教会でミサが開かれる日曜日に行ってきました。この日は議会総選挙の翌日。選挙の大勢が判明したばかりのときでした。
 
歴史的には、アイスランド全島集会がキリスト教の受容を決定したのは西暦1000年のこと。その後しばらくしてここに司教座が置かれました。宗教改革の時代にはルター派の受容を巡り、血なまぐさい闘争の場にもなったところです。
 
教会の牧師たちの多くはここで学び、アイスランド各地の教会へと派遣されました。全島集会(アルシンギ)のあと、ここに巡礼に訪れる人たちもいました。長く、ここは、宗教と教育、学問の中心地だったのです。
 
ちなみに、昔、アイスランドには町らしい町はなく、大きな集落と言えば、ここスカウルホルトだけでした。あとは農場が各地に点々と存在するのみ。全島集会が開かれるシングヴェトリルには夏の間だけ人が集まりますが、そこでは天幕が張られるだけで、集会が終われば、散会してしまいます。前稿でも若干触れましたが、港を中心に各所に漁村が形成されるのは、原動機付きのボートが導入されて以降。19世紀になってからのことです。
 
もっとも、スカウルホルトに昔あったはずの建造物は火災等で失われ、いずれも現存していません。
 
今の教会は10代目のもの。1963年に再建されたものです。地元の芸術家の手による祭壇正面のイエスキリスト像、教会堂全体を照らすステンドグラスが印象的です。
 
19世紀の大火で教会堂などが失われたのち、司教座はレイキャビクに移されました。
 
クリスマスまでのカウントダウン、アドヴェントが始まる最初の日曜日のミサが行われました。教会にとっては重要なミサのはずですが、参集者は私たちや子供らも入れて20人弱。
 
教会牧師のクリスティンさんとは初対面でしたが、先方はなんと私のことをフェイスブックでよくご存じで、まるで旧知の仲のように歓迎していただきました。