大使室より

平成28年4月28日

アイスランドの夏が始まる日

みなさん、ご無沙汰しています。

アイスランドに知人が増えたり、興味深い場所を教えてもらったりすると、本当に、あっという間に時間が経ってしまいます。

4月21日は「夏の始まりの日」として、アイスランドは祭日でした。確かに当日は、暖かい陽射しが降り注ぐ日となったのですが、その前日まで、チラホラ小雪がふるような天気。日本人が「夏」をイメージすると、大間違い、「これが夏かぁ(ちょっとため息)」という感じです。

でも、アイスランドがこの日を「夏の始まりの日」として祝うには、それなりの理由があるようです。

アイスランドの年間気温を見ると、冬でも平均最低気温はマイナス3度程度。欧州大陸内部の、マイナス30度などという寒さに比べれば、たいしたことがないかもしれません。しかし、昔々のアイスランドは、樹木の生育に適さない溶岩台地。木材は輸入しないといけないので、普通の人の家はターフ(=turf : 芝地を根も土もついたまま切り出したもの)を石の土台の上に重ねて作った壁に囲まれていたようです。海風を遮る木もなく、ターフの家は湿気が多く、体感気温は数倍にも厳しく感じられたことでしょう。昔のアイスランド人にとって、冬を越すことは、本当に大変だったことなのです。
ゆえに、昔のアイスランド人は、(ものの本によると)誕生日で年を重ねるのではなく、いくつ冬を越したかで年齢を数えたのだそうです。

そういうアイスランド人にとって、「夏の始まりの日」は、「冬が終わった日」であり、生き抜いたことを喜ぶ日であったようです。

追記:日本とアイスランドの外交関係も、年月を重ね、今年で60周年を記念しています。本コーナーをお読みの方で、60年間の日アイスランド関係に関する逸話(特に初期の頃)をご存じの方、記念するお写真・資料等をお持ちの方、大使館までメールをいただけると幸いです。