大使室より

平成29年3月16日

マンガとノンニ



日本のマンガやアニメが、アイスランドの人々によく受け入れられていることは大変嬉しいことですが、今から百年近くも前に、アイスランド人作家が書いた冒険小説が、当時の日本の少年少女達にも読まれていたことを最近再発見しました。
 
先日、アイスランド第二の都市、アークレイリ市を訪問した際に、「ノンニ」の愛称で有名な世界的童話作家、ヨーン・スウェンソン氏が幼少期を過ごした家を見せて頂いたからです。ちょうど私の誕生年から百年前の1857年に生まれた方で、13歳で海を渡り、デンマーク・ドイツを経由してフランスの修道院付き学校で学び、神父となってドイツの学校で教鞭をとるかたわら、55歳頃から「ノンニ」や「ノンニとマンニ」と言った冒険小説を次々に発表、それらが40ヶ国語に翻訳され、人気は「第二のアンデルセン」とも呼ばれるほどだったとか。
 
そのノンニは、80歳になった1937年に日本を訪問し、1年間滞在。日本各地で50回をこえる童話公演を行なったそうですが、日本滞在中、日本人の誠実さ、正直さ、礼節、品格に大変魅了され、欧州に帰国後87歳で亡くなるまでの間、日本を広く欧州各国に紹介してくれたとのこと。
 
厳しい自然の中での家族愛・兄弟愛をベースに、波乱に満ちた冒険話を綴った彼の本の出版部数は600万部を超え、世界中で愛読されたそうですが、15冊以上翻訳出版された日本でも、多数の少年少女達が胸をときめかしたことに違いありません。