大使室より
平成30年2月14日
再生可能エネルギー大国


アイスランドは「氷と火の国」と呼ばれるほどの厳しい自然環境に晒されながら、その一方で自然の恵みをうまく利用する、特に豊富な水力と地熱をエネルギー資源として活用する「再生可能エネルギー大国」であることは、世界的にもよく知られているところです。
必要な一次エネルギーの85%を地熱と水力で賄い、残り15%のガソリンを中心とする化石燃料の使用も、電気自動車の導入等により、近い将来ゼロにするという国家目標を立てています。
着任以来、既に複数回、各地の地熱発電所を視察する機会を得ましたが、その度に痛感するのは、自然の恵みが実に上手く活用されていることです。地下から取り出した熱水と蒸気を、一方では家庭やビル・公共施設の暖房に使用し、また一方では発電に活用する。さらに一部の発電所では、排水を温泉浴場として活用し人気を博しています。この代表的なものが、日本でも有名なブルーラグーンです。
ブルーラグーンの魅力については別稿に譲りたいと思いますが、アイスランドの再生エネルギー大国化には日本も少なからず貢献をしています。地熱発電所で使用されるタービンを中心とする発電設備の殆どが日本製であり、一部の発電設備の調達には日本の国際協力銀行(JBIC)の資金が使われています。
一方で、最近の新たな動きとして、一部の日本企業が当国のクリーンな電気(電力)に熱い視線を注ぎ始めています。世界的に、社会や企業に対し環境負荷の低減が強く求められるなか、当国の電気は100%再生可能エネルギー(水力と地熱)から作られる為、環境負荷がゼロです。従って、大量に電気を消費する産業や企業にとっては、当国の電気はとても魅力的なのです。
大使館としては、この様な新たな動きも踏まえ、環境、エネルギー、ビジネスと言った各分野での、両国間の一層の協力関係強化に向け、支援を続けて行きたいと考えています。