大使室より
平成30年2月15日
祖先と家系


アイスランドに着任して最も驚いたことの1つが、国民一人一人の祖先や家系に関する膨大な情報がデータベース化されていることです。
アイスランド人の大半は、874年以降に移住してきたノース人(ヴァイキング)の子孫であるとされ、殆どの国民が(少なくとも遠い)血縁関係にあると言われますが、この祖先や家系に関する具体的且つ膨大な情報が1997年にデータベース化、オンライン化されています。従って、アイスランド人であれば、誰でも即座にコンピューターやスマホからこのデータベースにアクセスでき、自分の祖先を30代近く遡って調べることが出来るというのです。
早速、大使館に勤務するアイスランド人スタッフに彼のコンピューターからこのデータベースにアクセスして貰ったところ、瞬時に彼から遡ること26代前、1050年に誕生した祖先までの、全ての先祖の名前と出生・死亡年のリストが出てきました。さらに個々の名前をクリックすると、その人の職業や家族の状況等の情報も出て来ます。
これらのデータは、もともとは遺伝子研究を行う民間企業が中心となって収集したものの様ですが、この中には、874年のヴァイキング入植時から最初に国政調査を行った1703年の間に誕生したアイスランド人の半分以上と、1703年以降(今日まで)に誕生したアイスランド人の95%以上の家系情報が含まれているそうです。
1千年近くも前の祖先のデータ等については、教会や一般家庭に残されていた古文書・資料等を通じて収集したとのこと。4~5世代前の祖先の名前すらおぼつかない私にとっては、そんな古い資料が残っていたこと自体が驚異的ですが、良く考えて見ると、12~13世紀に書かれたとされる「サガ」が、現在までしっかりと継承されているアイスランドならではの「奇跡」の1つなのかも知れません。