大使室より

平成30年4月20日

シグフソン初代駐日大使のご逝去を悼んで


Photo from www.mbl.is


先日、2001年から2004年迄の間、初代駐日アイスランド大使として活躍されたインギムンドゥ-ル・シグフソン氏がご逝去されました。
 
日本を管轄するアイスランド大使は1958年から任命されていますが、常駐の大使としてはシグフソン氏が初代でした。
 
同氏は、お父様が設立された日本車とドイツ車の輸入販売会社で長く社長を務められ、その縁もあり、外交官に転身し、駐ドイツ大使、初代駐日大使を歴任されました。
 
駐日大使時代には、二国間の外交・経済関係の強化に注力されるなか、歌舞伎や相撲、茶道・花道といった日本文化も熱心に学ばれました。その一方で、日本に於けるアイスランドのPRにも務められ、日本からアイスランドへの旅行者数を3倍にされる等、多くの実績を残されました。
 
ご退任後も、アイスランドと日本の民間レベルでの架け橋として、奨学金プログラムの推進等、様々な活動に従事され、二国間の関係強化に多大な貢献をされました。結果的に、その功績が評価され、2016年に「旭日重光章」を授章されることとなり、同年の天皇誕生日祝賀レセプションで着任後間もない私から、授与させて頂く栄誉に浴しました。
 
その後もいろいろな日本関係の行事にご参加頂きましたが、特に私に対しては「自分と大使とは、共に民間企業で働いた後に大使になったという共通点がある」として、何かと気にかけて下さり、大所高所から温かく見守って頂きました。
 
常に情熱に溢れ、人と自然をこよなく愛される方だった為、国籍を問わず多くの人に敬愛されていました。日本酒がお好きで、少しお酒が入ると抜群のユーモア・センスを発揮され周囲を楽しませてくれる方でもありました。あの笑顔を忘れることが出来ません。
 
アイスランドでは、傑出したビジネスマン・外交官として、そして日本では、日本を愛してくれた真の友人として、多くの人々の心と、二国間の外交史の中に、長く刻まれることに違いありません。
 
謹んでご冥福をお祈りすると同時に、ご家族・近親者の方々に衷心より哀悼の意を表させて頂きます。