大使室より(大統領訪日とジェンダー平等)

令和7年6月27日
アイスランドデーにおける大阪EXPO2025でのアイスランド大統領による講演
アイスランド大統領ハラ・トマスドッティル氏と若者たちとの対話、EXPO 2025 大阪のアイスランドデーにおける国連パビリオンでの
アイスランドにはいくつかのナンバーワンがあります。その中でも、16年連続でジェンダーギャップ指数が世界一というのは、圧倒的です。5月にハトラ・トーマスドッティル大統領が訪日した際、さまざまな場面で、ジェンダー平等についての議論を見ることができました。その中で、私が注目したいくつかの点をおさらいしたいと思います。私の理解が不十分なところは、是非ご批判をお願いします。
  1. 1975年にアイスランドで行われた女性のストライキ(女性たちが団結して仕事や家事を放棄)は、歴史的なジェンダー革命であり、その5年後の1980年に世界で初めての女性大統領がアイスランドで誕生し、衝撃を与えた。1975年から50年を経る中、アイスランドにとっても男女平等は決して容易な道ではなく、闘って得たものである。たとえば、父親を含めた育児休暇が実現したのは2001年であった。
  2. ジェンダー平等は、政策ではなく、対話を通じた社会の改善によって達成できる。男女は共に、仕事でも家庭でも同等の責任を有している。1975年のストライキの意義は、掃除や洗濯等の家事労働が大切であり、家事労働を担っていた当時の女性たちの存在が重要であるかを認識させることであった。他方、男性が抱える思いや悩みにも耳を傾け、多様性を尊重しつつ、お互いの意見を反映させるようにすることが重要であり、そのような多様性の下ではじめて豊かな社会が実現できる。
  3. 日本は、高い質と平和(quality and peace)で抜きんでている。目標を設定すれば、必ず達成できる。
 
余談ですが、大統領は、アイスランドは北欧の中で少しクレージー(crazy)であるが、世界を変えるためにはクレージーさが必要と述べていました。以前にアイスランドのある国会議員の人と話したときに、アイスランドは、ほかと違うのを恐れないのですねと聞いたのに対して、自分は子供に対して、同じでないようにしろと教えている(You should be different)と答えられたのを覚えています。今の世界では重要な能力かもしれません。
 
ジェンダー平等もそうですが、アイスランドの懐の深さを感じます。