レイキャネス半島での火山噴火について(2025年3月25日更新)
2023年11月、アイスランド南西部のレイキャネス半島にあるグリンダヴィク(Grindavik)近郊のストゥラ=スコゥフェットゥル山(Mt. Stora-Skogfell)とハガフェットゥル山(Mt. Hagafell)の間の地帯で噴火が発生しました。以降、噴火は断続的に続いており、これまでに7回の噴火が観測されています(直近の噴火は2024年11月20日に発生しました)。
専門家らは、レイキャネス半島の火山帯は活動期に入っており、今後当面の間、断続的に噴火が発生するとの予測をしています。
なお、噴火地点から数キロの距離にあるグリンダヴィクの街やブルーラグーンなどの観光施設は噴火のたびに閉鎖されるなど影響を受けています。
1.現在の状況(2025年3月25日現在)
直近の噴火は2024年11月20日深夜に発生し12月9日に収束しました。溶岩の噴出などは収まりましたが、周辺地域では地割れや火山性ガスの発生が観測されています。
3月25日に更新されたアイスランド気象局の情報によると、噴火地帯一帯の地下部ではマグマの流入が続いており、これに伴い周辺では火山性微動の増加や地下からのマグマ圧力による地盤上昇など、噴火が差し迫っている兆候を示す現象が1月より観測されており、当局は次の噴火はいつでも発生し得る状況にあり、かつ噴火した場合の規模は一連の噴火の中でも最大級のものとなる可能性があるとの見解を発表しています。

2.現在発令されている警戒情報・宣言等
アイスランド国民保護・危機管理局(Almannavarnir Rikislogreglustjori)が出している現在(3月24日現在)の安全情報は「警戒レベル(Alert/Danger Level)」です(噴火活動の収束に合わせ注意レベルに一旦は引き下げられましたが、その後再度の噴火の蓋然性が高まっているとして1月30日に警戒レベルに引き上げられました)。
アイスランド国民保護・危機管理局ホームページ:
https://www.almannavarnir.is/frettir/af-haettustigi-a-ovissustig-vegna-umbrota-a-reykjanesi/
アイスランドの安全情報
アイスランドにおいては、自然災害等における安全情報は以下の3段階に分けられています。
- Uncertainty Level(注意レベル)
生命、財産、地域社会や環境に対して影響を及ぼす可能性のある事象が認知された段階。事象がまだ初期段階であるなどの理由より確定的な脅威度評価はできないが、状況の監視や調査が強化されるとともに、関係各所との協議等、様々な調整も開始される。
- Alert/Danger Level(警戒レベル)
脅威度評価によって脅威の増加が示され、対象地域住民の安全確保のために早急な対策が求められる段階。対象地域の救急・警察・消防等の体制を強化し、規制、閉鎖、避難などの予防的措置を講じる。このレベルは国民に対する警告として位置付けられる。
- Emergency / Distress Level(緊急レベル)
生命、財産、地域社会や環境に対して脅威を及ぼす可能性が差し迫っている段階あるいは既に何らかの影響が発生している段階。死傷者やあらゆる損害、損失を防ぐために直ちに対策が講じられる。対象地域内に滞在している者に対して、必要に応じて携帯電話を通して政府から緊急アラートが送信される。国民は何らかの緊急事態を察知した場合、ためらわずに112に通報することが求められる。緊急事態宣言に相当。
3.観光・渡航への影響について
現在、グリーダヴィク市及びブルーラグーンなどは再開されていますが、これらの街・施設への立ち入りは一部リスクの高いエリアを通過しなければならない状況です。訪問にあたってはご自身の責任において必ず最新情報をご確認ください。また併せて航空便の運航状況もご確認ください。
- レイキャビク
レイキャビク及び近郊において今回の一連の噴火による被害は発生していません。ただし、噴火の規模や気候条件によっては硫黄成分を含む火山性ガスが到達し、場合によっては健康被害が出る可能性も指摘されています(実際にこれまでに何度か当局から警報が出されたことがあります)。
アイスランド気象局の火山性ガスに関するページ:
https://en.vedur.is/volcanoes/fagradalsfjall-eruption/volcanic-gases/#type=Isl24klst
- 交通機関
- ケプラヴィーク国際空港(KEF)
- 周辺の陸路
同空港を発着する航空便は通常通りの運航となっています。 ケプラヴィーク空港から噴火地域までは約15kmほどしかありません。噴火の規模や気候条件によっては空港閉鎖や航空便の欠航などがあり得ますので、空港ホームページや利用予定の航空会社より最新の情報を入手するようにして下さい。
ケプラヴィーク国際空港:
グリンダヴィク周辺では同市に向かう道路は全て封鎖されています。また噴火状況や気象条件によってはさらに周辺の道路が封鎖されることもありますので、以下サイトなどから最新の情報を入手して下さい。また、通行止めとなっている道路へは絶対に侵入しないで下さい。
アイスランドレスキュー協会が運営する旅行者向け安全対策ページ:
- 噴火地域周辺の各施設
- ブルーラグーン
- 火山ツアーへの参加/噴火地域周辺への観光
ブルーラグーンは営業しています。
しかし、ブルーラグーンは噴火地域から数kmしか離れておらず、昨年11月の噴火時には施設の駐車場を溶岩が覆い長期にわたり営業ができなくなるなど、噴火の影響を最も受けやすい場所です。緊急時には避難指示が出されるますが、指示から実際の避難までは数十分と極めて限られるうえ、想定されない危険に巻き込まれる可能性があります。また、状況によっては急に営業を休止する場合もありますので、訪問の是非は慎重に判断して下さい。立ち入りが制限されていない場所において火山見学ツアーが催行されていますが、状況が急に変化し短時間のうちに危険な状況となる可能性もありますので、参加に当たってはツアーに関する情報をご自身でよく確認するとともに、参加する場合は家族や知人に参加する旨と連絡先を伝え、万一の場合に備えるようにして下さい。
- その他のアイスランド
現状、ブルーラグーンを除き、日本人が多く訪れる有名な観光地は噴火の影響を受けていません。しかしながら、状況はいつでも変わる可能性がありますので、訪問にあたってはご自身の責任において必ず最新情報をご確認ください。また併せて航空便の運航状況もご確認ください。
4.アイスランド訪問の心得
噴火発生時には、火山性地震、溶岩の流出、火山性ガス(硫黄)の放出などが起こり、市民生活や交通機関への影響のほか、観光施設を含む各施設の閉鎖など多方面への影響が懸念されます。噴火の状況については当局が常時モニタリングしていますが、噴火のタイミングを正確に予測することは困難で、今回の一連の噴火においても噴火直前まで警報が発令されなかった事例が複数あります。また、これまでとは違う場所で突如噴火が始まる危険性も指摘されています。
島国であるアイスランドでは航空便が島外とのアクセスの主要な手段となっていますが、これはつまり航空便に影響が出た場合、島外に出ることが極めて困難になることを意味しており、特に火山の影響により空港が閉鎖されることとなった場合には、長期に亘って島内にとどまることを強いられる可能性があります。
現在のところフライトに影響が出るような状況にはありませんが、これからアイスランドに来られる予定の方におかれましては、空港近くで火山活動が活発化していること、及びフライトに影響が出た場合は様々な困難が生じ得ることも念頭に入れて、万一のことにも備えつつ訪問計画を立てるようにして下さい。
海外に滞在する方は、短期の場合には「たびレジ」を、6か月以上の長期の場合には「在留届」を提出するよう徹底してください。
- たびレジ
- 在留届
- 過去の配信
たびレジに登録することで当大使館が収集した情報を日本語で受け取ることができます。アイスランドへの訪問予定のある方は、早い段階からたびレジにご登録ください。
6か月以上海外に滞在予定の方は、旅券法により在留届の提出が義務付けられています。在留届が提出されていない場合、当大使館は当該邦人の存在を認知できません。緊急事態発生時等において、たとえ日本政府の支援を受ける意思が無い場合であっても、当大使館はアイスランドに滞在する全ての日本国民に対して等しく安否確認作業をはじめとする邦人援護業務を行う責任があります。在留届が未提出の場合、邦人検索に多大な負担と援護の遅れをもたらし、結果としてアイスランドに滞在する全ての日本国民に対しての不利益に繋がりますので、未提出の方は必ず提出してください。また届出内容に変更がある方は変更届を必ず提出してください。
たびレジ、在留届を提出することで受けられる安全情報について、過去の配信はこちら。