レイキャネス半島での火山噴火について(2025年7月17日更新)
2025年7月16日午前4時頃、アイスランド南西部のレイキャネス半島にあるグリンダヴィク(Grindavik)近郊のストゥラ=スコゥフェットゥル山(Mt. Stora-Skogfell)とハガフェットゥル山(Mt. Hagafell)の間の地帯で噴火が発生しました。既に噴火は収束していますが、再度突発的な噴火等の可能性もありますので最新の情報の入手に努めてください。
なお、当地域では、2021年以降断続的に噴火が発生しており、これまでに11回の噴火が観測されています(今回の噴火は12回目)。
1.噴火の状況(2025年7月17日午後4時現在)
アイスランド気象局の情報によると、噴火地点は昨年8月の噴火時に隆起してできたLitla-Skogafell山の南東部にあたる地域で、噴火の態様は地割れ噴火とのことです。
7月17日午後4時現在、引き続き噴火は継続しているもののその規模は小さくなっているとのことで、噴火活動に伴う火山性微動の回数も大幅に減少している模様です。マグマの流出も当初の想定範囲内で被害等は発生していない模様です。
一方で火山性ガスは昨日に引き続き観測されており、17日はReykjanesbraut、18日はグリンダヴィークで観測される見込みです。
上記の通り、噴火活動は収束に向かっておりますが、今回の噴火は直前まで噴火の兆候が観測されておらず突発的に発生したもので、今後の展開には引き続き警戒が必要です。
アイスランド気象局ホームページ:
https://www.vedur.is/um-vi/frettir/landris-heldur-afram-i-svartsengi

2.現在発令されている警戒情報・宣言等
アイスランド国民保護・危機管理局(Almannavarnir Rikislogreglustjori)が出している現在(7月17日現在)の安全情報は「警戒レベル(Danger Level)」です(噴火発生直後に緊急レベルに引き上げられましたが、噴火活動の収束に伴い7月16日夜に警戒レベルに引き下げられました)。
アイスランド国民保護・危機管理局ホームページ:
アイスランドの安全情報
アイスランドにおいては、自然災害等における安全情報は以下の3段階に分けられています。
- Uncertainty Level(注意レベル)
生命、財産、地域社会や環境に対して影響を及ぼす可能性のある事象が認知された段階。事象がまだ初期段階であるなどの理由より確定的な脅威度評価はできないが、状況の監視や調査が強化されるとともに、関係各所との協議等、様々な調整も開始される。
- Alert/Danger Level(警戒レベル)
脅威度評価によって脅威の増加が示され、対象地域住民の安全確保のために早急な対策が求められる段階。対象地域の救急・警察・消防等の体制を強化し、規制、閉鎖、避難などの予防的措置を講じる。このレベルは国民に対する警告として位置付けられる。
- Emergency / Distress Level(緊急レベル)
生命、財産、地域社会や環境に対して脅威を及ぼす可能性が差し迫っている段階あるいは既に何らかの影響が発生している段階。死傷者やあらゆる損害、損失を防ぐために直ちに対策が講じられる。対象地域内に滞在している者に対して、必要に応じて携帯電話を通して政府から緊急アラートが送信される。国民は何らかの緊急事態を察知した場合、ためらわずに112に通報することが求められる。緊急事態宣言に相当。
3.観光・渡航への影響について
7月16日午前時点で今回の噴火による人的・物的被害は確認されていませんが、噴火地点の直ぐ近くにあるグリンダヴィーク市周辺道路が閉鎖されているため、これらの地域への立ち入りはできない状況です(ブルーラグーンは査営業を再開しています)。なお、警察当局からは、緊急車両の通行や避難の妨げになるため、火山見学のために付近の道路に車を駐停車することは控えるよう注意喚起が出されておりますので、このような行動は慎んでください。
また、火山ガスがレイキャネス半島北部の各都市(ケプラヴィーク、レイキャネス、ヴォグル)で観測されています。火山ガスには主に二酸化硫黄や二酸化炭素が含まれており、喉の痛み、咳、目の痛みなどが発生することがありますので、特に呼吸器官に持病をお持ちの方はご注意ください。
交通機関については、グリンダヴィクに続く道路(43号線(ブルーラグーン以南)、425号線、427号線)が閉鎖されていますが、それ以外については陸空ともに影響はありません。ただし、今後の噴火状況次第では各訪問にあたってはご自身の責任において必ず最新情報をご確認ください。また併せて航空便の運航状況もご確認ください。
- レイキャビク
レイキャビク及び近郊において今回の一連の噴火による被害は発生していません。ただし、噴火の規模や気候条件によっては硫黄成分を含む火山性ガスが到達し、場合によっては健康被害が出る可能性も指摘されています(実際にこれまでに何度か当局から警報が出されたことがあります)。
アイスランド気象局の火山性ガスに関するページ:
https://en.vedur.is/volcanoes/fagradalsfjall-eruption/volcanic-gases/#type=Isl24klst
- 交通機関
同空港を発着する航空便は通常通りの運航となっています。 ケプラヴィーク空港から噴火地域までは約15kmほどしかありません。噴火の規模や気候条件によっては空港閉鎖や航空便の欠航などがあり得ますので、空港ホームページや利用予定の航空会社より最新の情報を入手するようにして下さい。
ケプラヴィーク国際空港:
グリンダヴィク周辺では同市に向かう道路は全て封鎖されています。また噴火状況や気象条件によってはさらに周辺の道路が封鎖されることもありますので、以下サイトなどから最新の情報を入手して下さい。また、通行止めとなっている道路へは絶対に侵入しないで下さい。
アイスランドレスキュー協会が運営する旅行者向け安全対策ページ:
- ケプラヴィーク国際空港(KEF)
- 周辺の陸路
- 噴火地域周辺の各施設
ブルーラグーンの営業は再開されています(2025年7月17日午後4時現在)。
ブルーラグーンは噴火地域から数kmしか離れておらず、昨年11月の噴火時にも施設の駐車場を溶岩が覆い長期にわたり営業ができなくなるなど、噴火の影響を最も受けやすい場所です。
今後営業が再開されたとしても状況によっては急に営業を休止する場合もありますので、訪問の是非は慎重に判断して下さい立ち入りが制限されていない場所において火山見学ツアーが催行されていますが、状況が急に変化し短時間のうちに危険な状況となる可能性もありますので、参加に当たってはツアーに関する情報をご自身でよく確認するとともに、参加する場合は家族や知人に参加する旨と連絡先を伝え、万一の場合に備えるようにして下さい。
- ブルーラグーン
- 火山ツアーへの参加/噴火地域周辺への観光
- その他のアイスランド
4.アイスランド訪問の心得
噴火発生時には、火山性地震、溶岩の流出、火山性ガス(硫黄)の放出などが起こり、市民生活や交通機関への影響のほか、観光施設を含む各施設の閉鎖など多方面への影響が懸念されます。噴火の状況については当局が常時モニタリングしていますが、噴火のタイミングを正確に予測することは困難で、今回の一連の噴火においても噴火直前まで警報が発令されなかった事例が複数あります。また、これまでとは違う場所で突如噴火が始まる危険性も指摘されています。
島国であるアイスランドでは航空便が島外とのアクセスの主要な手段となっていますが、これはつまり航空便に影響が出た場合、島外に出ることが極めて困難になることを意味しており、特に火山の影響により空港が閉鎖されることとなった場合には、長期に亘って島内にとどまることを強いられる可能性があります。
現在のところフライトに影響が出るような状況にはありませんが、これからアイスランドに来られる予定の方におかれましては、空港近くで火山活動が活発化していること、及びフライトに影響が出た場合は様々な困難が生じ得ることも念頭に入れて、万一のことにも備えつつ訪問計画を立てるようにして下さい。
海外に滞在する方は、短期の場合には「たびレジ」を、6か月以上の長期の場合には「在留届」を提出するよう徹底してください。
- たびレジ
- 在留届
- 過去の配信
たびレジに登録することで当大使館が収集した情報を日本語で受け取ることができます。アイスランドへの訪問予定のある方は、早い段階からたびレジにご登録ください。
6か月以上海外に滞在予定の方は、旅券法により在留届の提出が義務付けられています。在留届が提出されていない場合、当大使館は当該邦人の存在を認知できません。緊急事態発生時等において、たとえ日本政府の支援を受ける意思が無い場合であっても、当大使館はアイスランドに滞在する全ての日本国民に対して等しく安否確認作業をはじめとする邦人援護業務を行う責任があります。在留届が未提出の場合、邦人検索に多大な負担と援護の遅れをもたらし、結果としてアイスランドに滞在する全ての日本国民に対しての不利益に繋がりますので、未提出の方は必ず提出してください。また届出内容に変更がある方は変更届を必ず提出してください。
たびレジ、在留届を提出することで受けられる安全情報について、過去の配信はこちら。