大使室より

  • このコーナーについて
    1. はじめまして
    2. 居心地の良い距離感
    3. 東北のミライとアイスランド
    4. 伝えるということ
    5. 自分の言語を大切にする国
    6. 色の無い世界
    7. あけましておめでとうございます
    8. 「氷の国」アイスランド
    9. 世界一男女平等な国の国際協力
    10. やはりアイスな アイスランド

    伝えるということ

    10月4/5/6日の3日間、樋口了一氏が「ポストマンライブ」を当地で開催してくださいました。2009年に開始して以来173/174/175回目、かつ国外初のライブだそうです。こんなに遠くまで来てくださり、ありがとうございました。また、樋口氏のライブをアイスランドに呼ぼうと思い立った美也子さん、素敵なイニシャティブをありがとうございます。  樋口氏は、このライブを「手紙~親愛なる子供たちへ~」という曲に込められたメッセージを伝えるための活動と位置づけていらっしゃいます。

    アイスランドでは、名字は親のファーストネームから派生させてつくります(例えば、ペーターの息子はペーターソン、娘はペータードッティル)。年齢を重ね、身体の限界を感じつつ、自分が子供たちを慈しんだ大切な時を懐かしく思い出す。人生が始まり、人生が終わるときに、親子の強いつながりを笑顔で確認する。

    メッセージを伝えるためには、発信する者と受け取る者に、共通の理解がないと上手く共鳴しません。名前の中に親子の絆が組み込まれたアイスランドの人たちには、このメッセージがしっかり伝わったと思います。 樋口氏が、最初に海外に届けた手紙の宛先がアイスランドというのは、日本人とアイスランド人が、ともに大切に感じているものの共通性を象徴するように思われました。

    私個人は、「のぞみ」という歌に一番心を打たれました。仕事をしながら出産をするには、かなりの覚悟が必要でした。生まれてくる子供によっては、現在の仕事を継続することも困難になるでしょう。それでも、自分は、この子供を大切に育てる覚悟があるのか。思い詰めるように悩んだことを思い出します。「のぞみ」の歌には、自分の子供をあるがままに受け入れ、大切にする親の気持ちが歌われています。そこに至るまでの、葛藤と、葛藤していることをふがいなく思う気持ち。そういう複雑な感情を乗り越え、子供をゆっくり育てる喜びに転換していく過程に、心を強く動かされました。

    そして、この「手紙」をお伝えするための伴奏は、当館の内田参事官によるギター。大使館は、二国間の理解を深めるために努力していますが、こういう形で日本の価値・文化をお伝えするお手伝いができたことを、とても誇りに感じます。


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    コンサートの模様
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    ヴェルスルナル高等学校の生徒たちと
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    アイスランドからのメッセージも加わりました